ホーム >コラム「長崎街道をゆく」>筑前六宿のひとつ黒崎宿へ
長崎街道

筑前六宿のひとつ黒崎宿へ
~黒崎城から上の原を歩く~


▲黒崎宿、曲里の松並木 

 街道といえば“松“。そして黒崎宿といえば約600本のみごとな曲里の松並木。朝晩と散歩やジョギングで多くの人びとが通ります。歴史に想いを馳せて訪れる旅人は、直線距離にして約700mもある並木の中から、江戸時代の松2本を探すのに夢中になるのだとか…。

 黒崎が城下町だったことをご存知でしょうか。JR黒崎駅から北東にある小高い丘が黒崎城の跡。慶長5年(1600)、キリシタン大名 黒田如水(孝高)の息子・長政が筑前へと入部して築城しますが、天守閣の着工には至らず、わずか15年で廃城となってしまいました。今では、公園として整備され、北は洞海湾、東は夜景をパノラマで楽しめる人気のスポットの皿倉山、南には黒崎の町並みを望むことができます。では、眼下に広がる黒崎宿の史趾を探しに街道を歩いてみましょう。


▲左)黒崎宿人馬継所趾の碑 右)興玉神社 

 商店街ファミール藤田の入口は人馬継所があった場所。くまで通りも含めるこれらのアーケードが長崎街道です。近辺には、御茶屋、坂本龍馬が泊まったという桜屋、代官所跡、西・東溝口跡、7月に催される黒崎祇園の氏神が祀られている春日神社・岡田神社・一宮神社が点在しています。

 アーケードの途中に、赤い鳥居がひときわ目を引く興玉神を発見しました! 昔の人たちは、先を急ぐ足を止め、旅の安全を願って拍手をうったかもしれませんね。

▲立場茶屋銀杏屋 

 木屋瀬宿へと向かう前に、ぜひ訪れてほしいのが石坂の御茶屋です。伊能忠敬も泊まったという立場茶屋銀杏屋は、曲里から距離にして約7キロ。車で15分、徒歩だと約3時間の道のりです。

 「上段の間」を備えた書院をもつめずらしい御茶屋さん。この立派な建物は、大名や幕府といった高官クラスの人たちが泊まった特別な宿泊所でした。樹齢300年を越す銀杏の大木が目印で、地元の人たちは親しみを込めて「銀杏屋敷」と呼んでいるそうです。見頃の秋には鮮やかな黄色に染まり、長崎街道の目印となったことでしょう。


▲立場茶屋銀杏屋の大きな銀杏の木 

 現在、立場茶屋銀杏屋は、御茶屋の歴史を伝える施設となっています。9月には観月会、2月にはひな祭りとイベントがおこなわれ、多くの人々で賑わいます。

次回は、白壁の旧家が残る木屋瀬宿へとまいります。

長崎街道を歩こう!

【黒崎宿】
○江戸時代の国名/筑前国
○所在/福岡県北九州市八幡西区
○アクセス/電車…JR鹿児島本線[黒崎駅]を下車
○車…北九州都市高速[黒崎IC]をおりて国道200号線を北上
○まつり/黒崎祇園(7月21・22日) 筑前黒崎宿祭り(10月) 

【立場茶屋銀杏屋(たてばぢゃやいちょうや) 】
お問い合わせ/立場茶屋銀杏屋管理運営委員会 TEL/093-618-1836
所在/福岡県北九州市八幡西区石坂1-4-6
開館時間/10:00~16:30
休館日/月曜日 年末年始
入館料/無料
駐車場/6台
アクセス/バス…JR鹿児島本線[黒崎駅]を下車→西鉄バス[53番・直方急行]の[上石坂銀杏屋前]で下車。
徒歩…JR鹿児島本線[黒崎駅]から約3時間。南口から松並木の曲里を通過して左折、国道200号線を南下、黒崎IC付近から国道211号線に入り、北九州都市高速4号線の[小峰IC]出入口付近を通過して、小峰台の隣。
イベント/こどもの日(4月27日~5月6日) 七夕まつり(8月4日) 夜間公開(9月・中秋の名月)
立場茶屋銀杏まつり(11月3日) ひな祭り(2月23日~3月16日) *各イベントは無料です。

【参考文献】
『長崎街道 伊能図で甦る古の夢』 著/河島悦子 発行/ゼンリン福岡支店 1997年
『長崎街道1 大里・小倉と筑前六宿』九州文化図録撰書 創刊号 発行/図書出版のぶ工房 2000年
北九州市観光協会ホームページ

【写真&資料】
撮影:小山善寛