俵坂峠を越えて彼杵宿へ
~日本二十六聖人も歩いた街道~
彼杵宿は当時、大名や公儀衆の休泊の宿として重要な役割がありました。また、長崎奉行やオランダ商館長、文人、商人など様々な人々が往来した長崎街道です。そして、彼杵は平戸街道への分岐点でもありました。 |
俵坂峠へ向かう途中、二ノ瀬集落には、生い茂った大きな楠があります。これが長崎街道一の大楠として有名な楠。周囲16.88メートル、直径5.37メートル、中は空洞になっていて、畳が8枚敷けると記録されています。しかし、薬品の原料として一度切り倒され、現在では旧株から2世が育ち、直径1メートル程に成長しているところです。 |

▲大楠
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▲俵坂峠
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俵坂峠は、東彼杵町と嬉野町の境にある標高202メートルの峠で、江戸時代はこの峠を境に大村藩と佐賀藩に分かれていました。この峠を越えると、眼下に棚田が広がります。うっとりと見惚れてしまう感動の風景です。 |
峠を抜けるとついに長崎県です。彼杵川を渡ると彼杵宿跡に着きます。右手に海を見ながら、国道と山道をのぼったりくだったり。途中のうどん坂は、汗びっしょりになりながら…。当時この道を歩いた聖人たちの信仰の深さや思いの強さを感じます。
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▲26聖人乗船場跡
当時(慶長元年)は、豊臣秀吉による禁教令が厳しく、布教していた宣教師と信者26人は、見せしめのために捕らえられ、左耳を削がれて、京都~大阪~堺と引き回され、長崎で処刑されました。その26聖人は、この場所で3艘の船に乗り長崎へ向かったということです。そのことを思うと、ここから眺める海は、とても切なく、寂しい色をしていました。
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▲道の駅彼杵の荘
旅の途中で立ち寄りたいのが、ここ〈道の駅彼杵の荘〉。彼杵のうまいものがぎゅっと詰まった道の駅です。
特産品販売以外にも、隣接して歴史民俗資料館もあります。
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▲人気の「茶ちゃ焼」80円
彼杵と言えば、そのぎ茶や鯨が有名。中でも、長崎県内70%の生産を占めている「そのぎ茶」は、茶葉を傷めない製法で仕上るため、丸く巻いた茶葉が特徴です。
ふくよかな味と香りの「そのぎ茶」を粉にし、生地と白あんに練り込んだ今川焼き「茶ちゃ焼」80円(1個)が人気です。
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ちなみに、11/27(土)は、「長崎街道ウォーク」が開催されます。俵坂峠から平原ー里塚、彼杵宿、歴史民族資料館までを歩き、東彼杵町の歴史をぜひ体感してください。参加費は300円。申し込み期限は11/24(水)まで。詳しくは、歴史民族資料館0957-46-1632まで。 |
上りも下りも多い道のりだった彼杵宿。しかし、山や海に見守られながらの旅は、何物にも変えがたいものでした。とくに峠からの景色は、ほっとするものがありました。そして、聖人たちと同じ道を歩いたことで、歴史の本を読むだけではわからない思いを体で感じることができました。 |
次は松原宿へ参ります。 |
長崎街道を歩こう!
【彼杵宿】
○江戸時代の国名/大村藩領
○現在地/長崎県東彼杵郡東彼杵町
○アクセス/
電車…JR大村線「彼杵駅」
車…長崎自動車道東そのぎインターからすぐ
○まつり/茶市(5月)、祇園祭(7月)、納涼花火大会(8月)、ふるさとふれあいまつり(11月)
【俵坂峠】
○現在地/長崎県東彼杵郡東彼杵町坂本郷
○アクセス/
電車…JR彼杵駅からJRバス俵坂バス停まで10分
車…長崎自動車道東そのぎインターから車で5分
【26聖人乗船場跡】
○所在/長崎県東彼杵郡東彼杵町彼杵宿郷塚崎
○アクセス/
電車…JR彼杵駅から徒歩10分
車…長崎自動車道東そのぎインターから車で3分
【道の駅彼杵荘】
○所在/長崎県東彼杵郡東彼杵町彼杵宿郷747-2
○電話/0957-49-3311
○営業時間/7:00~19:00
○定休日/1/1~1/3
○アクセス/
電車…JR彼杵駅から徒歩7分
車…長崎自動車道東そのぎインターから車で2分