筑前六宿のひとつ飯塚宿へ
~水陸運の要所から炭鉱町へ~
▲飯塚川の風景
江戸時代の飯塚宿は、遠賀川と飯塚川が合流する水路交通の要所として、たくさんの商品を積み上げた川船が往来し、川岸では積荷を忙しく運ぶ商人たちで活気に溢れていました。旅人たちは、大空に帆を張る船と飯塚のその雄大な景色を楽しみながら、地名の由来となった飯の山の御茶屋を目指して歩いたのではないでしょうか。そんな旅情あふれる飯塚を歩いてみましょう。
▲オランダ屋敷跡の碑
JR新飯塚駅を降りて、新飯塚橋を渡って本町通りを南へ向かって歩いていると、まず目にとまったのはオランダ屋敷の石碑でした。一角には外国人専用の宿泊施設で、オランダ商館の医者ケンペルやシーボルトなどが旅の疲れを癒しました。
今、人気のスポットとして注目を集めるのは、筑豊の炭田王と呼ばれた旧伊藤伝衛門邸。この住宅は明治30年ごろに創建され、敷地には回遊式庭園をそなえた和風建築となっています。日本の優美な佇まいと文明開化とともに西洋の様式を取り入れた斬新なデザインで、日本の近代化へと突き進んだ時代を垣間見るようです。四方から見える三連のボタ山は、炭鉱で掘り起こした土砂が堆積してできた人工の山で、その高さは約141メートル! 車窓からも姿をみることができるボタ山は飯塚のシンボルのようです。
▲旧伊藤伝衛門邸
▲ボタ山
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▲左)千鳥屋総本店の「千鳥饅頭」 右)ひよ子本舗吉野堂の「名菓ひよ子」
飯塚で江戸時代から創業を続ける老舗といえば「千鳥総本店」があります。長崎に伝来した南蛮菓子の製法を用いてお菓子を販売していた松月堂が昭和2年に、焼き菓子に白餡を詰め込んだ「千鳥饅頭」が人気となりました。また、炭鉱が栄えた明治大正の頃に飯塚の手土産として「名菓ひよ子」が、ここ飯塚で生まれました。どちらも全国的に有名なお菓子です。時代はさておき、どのお菓子も南蛮文化が長崎街道へと伝わって、職人へと脈々と受け継がれた製法によって生まれたお菓子です。どうやら長崎街道の旅のもうひとつの目的は、シュガーロードで食べ歩き! お菓子を頬ばって歩くのも、これもまた旅の魅力のひとつです。 |
次は、内野宿から冷水峠へまいります。 |
長崎街道を歩こう!
【飯塚宿】
○江戸時代の国名/筑前国
○現在地/福岡県飯塚市
○アクセス/
電車…JR福北ゆたか線〔新飯塚駅〕を下車 *博多駅より約40分、小倉より約40分
車…福岡市外より国道201号線を走り約40分
高速をご利用の場合は、福岡ICより40分、八幡ICより約30分、筑後小郡ICより約30分
○まつり/飯塚山笠(7/1~15)、どんたく宿場祭(11月中旬)、雛のまつり(2~3月)
【旧伊藤伝衛門邸】
○所在/福岡県飯塚市幸袋300
○開館時間/9:30~17:00(入館16:30迄)
○入館料/大人300円 小・中学生100円 *土曜日のみ小・中・高校生は無料
○休み/火・水曜日(祝日は開館) 年末年始12/29~1/3
○駐車場/あり
○お問い合わせ/旧伊藤伝衛門邸 TEL/0948-22-9700
○アクセス/
電車…JR福北ゆたか線〔新飯塚駅〕を下車し徒歩約30分
バス…西鉄バスの〔幸袋〕で下車し徒歩約2分
(飯塚バスセンターより「直方」「毛勝」「福祉センター(赤池)」に乗車)
JR九州バスに乗車し〔幸袋本町〕で下車し徒歩約2分
(〔JR新飯塚駅〕より「直方」「福丸」「宮田町」に乗車)
車…福岡ICより約45分 八幡ICより約40分 筑後小郡ICより約50分